ナイトロジェンマスタードとは

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ナイトロジェンマスタードとは

ナイトロジェンマスタード(Nitrogen mustard、窒素マスタードとも呼ぶ )は化学兵器の一つ。 第一次世界大戦で使われたマスタードガスの硫黄原子を窒素に置き換えた化合物である。 細胞毒性に着目して使用された最初の抗癌剤で白血病や悪性リンパ腫の治療薬として使われていた。 クロロエチル基がDNAをアルキル化することによって核酸の合成を妨げ抗腫瘍効果を現す。

抗癌剤が現代医学の化学療法に正式に登場したのは 1946年にナイトロジェンマスタードがホジキン氏病に投与され 腫瘍縮小が得られたと報告されたのが始まりだと言われている。

【起源】

抗悪性腫瘍薬(抗癌剤)の起源は「毒ガスのイペリット」に発し イぺリットよりも毒性が少ない「ナイトロジェンマスタード」が治療に応用されたのが最初である。


1943年12月2日イタリアの連合国側の重要補給基地であるバーリ港にドイツ軍は爆撃を仕掛け 輸送船・タンカーを始めとする艦船16隻が沈没した。

その中のアメリカ海軍リバティー型輸送船「ジョン・E・ハーヴェイ号」には大量のマスタードガスが積まれており 漏れたマスタードガスがタンカーから出た油に混じったため、救助された連合軍兵士たちは大量に被曝した。 翌朝、兵士たちは目や皮膚を侵され、重篤な患者は血圧の低下、末梢血管の血流の急激な減少などを経て 白血球値が大幅に減少したと報告されている。 結果、被害を受けた617人中83名が死亡したが 一日あたりの死者の数を見ると、被害後2日目、3日目に最初のピークを迎え(イペリットによる直接の死者) 8日、9日後に再度ピーク(白血球の大幅な減少による感染症)を迎えた。 アメリカ陸軍はこの事件および化学兵器研究チームの報告から マスタードガスおよびナイトロジェンマスタードがX線同様に突然変異を引き起こす可能性が高いと考えた。 当時はX線照射療法しかなかった悪性リンパ腫の治療に新しく試みた。 これが化学療法の最初であると言われている。

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